



【表現の景 ── 空間をいける、臥龍の息遣い】
ザ・ペニンシュラ東京のロビーに足を踏み入れるとき、いつもそこには、言葉にできない素晴らしい「気」が満ちていました。
空間を優しく包み込みながら、同時に凛とした一本の軸を通すその空気の正体。それこそが、ロビーの中心にずっと鎮座する、現代いけばな兼現代美術作家・濱恵泉氏の作品『臥龍の門 ートッキーここにいるー』でした。
境界線を融かす、反転の美学
割竹が持つしなやかな素材感を活かし、あえて「竹の内側」を表として使うという独特の手法。
物質がその固定観念(檻)を手放し、内なる美しさを反転させて解き放たれたとき、そこには宇宙を揺るがすほどのダイナミックな生命力が宿ります。それは、私たちが大切にしている「こうあらねばならないという強固な檻を手放す」という思想そのものでもあります。
単なる視覚的な彫刻ではありません。
伝統的な「いけばな」の精神、すなわち空間の余白に命の気を走らせる思想が、現代美術というアプローチによってロビー全体へと「いけられている」のです。
宇宙を護る、静かなる鎮座
干支の中で唯一、神話上の生き物である「龍」。
そこに横たわる臥龍は、宇宙の平和と幸運の守護として、また魔除けとして、あらゆるノイズからこの空間を護り続けています。
素材があるがままの息遣いでうねり、神話の熱量を帯びながら、現代の洗練された空間と最も美しいバランスで調和している姿。
私たちが「SHIZENNECTION」を通じて見つめ、引き算の先に追い求めようとしている原風景の答えの一つが、まさにこの場所に、何年も前から静かに佇んでいました。
最高峰の表現が放つ「気」と、純粋に共鳴する時間。
伝統の精神を現代の感性でひっくり返すその圧倒的な手仕事に、心からの敬意を込めて。
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